おはようございます。こんにちは。こんばんは。すなおたまき(@office_sunao)です。
ペアトレをご紹介するシリーズも、ここまでいくつか書いてきました。



これらをふまえて今回は、「強化」という考え方をご紹介します。
ずばり「強化」とは、「嬉しい」「楽しい」「満足」を増やすことで成り立ちます。
「好きこそ物の上手なれ」ということわざがあるとおり、「好き」を増やしてあげられれば変わっていきます。
それをこれから詳しく説明していきますね。
「強化」ってなに?
強化とは、ある行動の強さ(回数や時間、大きさなど)が強まること を指します。
「強化」とは本来、専門家が行う行動療法です。
主に
- 望ましくない行動の修正
- 望ましい行動の持続
そのために「強化」を用いるのですが、ペアトレでは、その中には「親だからこそわかる」部分があるという考えがあります。
「親だからこそわかる」知識をもとにして、行動療法の専門家に近づく方法が「強化」ということになります。
行動療法の考え方は大まかに以下の通りです。
- 人間の行動には何らかの法則がある
だから、
- その「人間の行動の法則」を明らかにすること
具体的には、
→行動分析をして、その後に
- 適切な行動をしたら →ほめる
- 不適切な行動をしたら →ほめない
という対応をとります。
ここでいう「人間の行動の法則」とは?どういうことを指すのでしょうか。
これを明らかにする作業を「行動分析」といいます。
ある「きっかけ」(個性・特性・環境・状況などの手がかり)が発生し → 行動が起こります → そしてその「結果」どうだったのか?
という一連の流れを分析します。
例:のどが渇いた/ジュースが手元に無い(きっかけ)→ 自販機にお金を入れてボタンを押す(行動)→ジュースを得て飲む(結果)
この、きっかけ・行動・結果 の法則性を利用して望ましい行動を増やしていきましょう。
そのために、「強化」を使います。
ということなんですね。
強化の定義
ある行動をとることによって、「満足する」「楽しい」「うれしい」結果が現れたり、増えたりという経験が増えると
→その行動は将来的に起こりやすくなります。
この考えを元に、子どもの問題行動を減らす対策を立てます。
その子どもの
「満足する」「満たされる」「うれしい」「楽しい」
を増やすこと。
これができていれば、「強化」が成立していることになります。
例えば、
- Aができた→ほめる→うれしい の流れを理解させると、Aをする回数が増えます。
だからこそ、
- 子どもが何が好きか?「好き」をいっぱい見つけてあげることが大事になってきます。
ただ、
親のエゴで「好きになってほしいから」と押し付けても、子どもは興味を示しません。
あくまでも、その子どもの「好き」を増やすことが大切です。
注目なし(きっかけ・手がかり)→おもらし(行動)→おこられるという注目(結果)を得る
↓
Aちゃんにはトイレで排尿してほしい(=目標行動を設定)
↓
①行動をよく観察し、彼女が排尿前に「お尻をもぞもぞする」様子を見つけた(=手がかり「きっかけ」発見)
②ある日「お尻をもぞもぞ」サイン発見→すぐトイレに行き座らせ、「しーしー」と声かけ→おしっこ成功(=とってほしい「行動」に誘導)
③「トイレでおしっこできてえらいね」とほめて、ハグする(=満足する「結果」に導く)
↓
「しーしー」の声かけでトイレでおしっこできるようになった(=成功体験を得て、「望ましい行動」が増えた)
こんなふうに、小さな成功体験を積み重ねてあげると、できなかったことができるようになってきます。
強化子ってなに?
強化子とは:ある行動をとったあとにあらわれて、またその行動を起こしやすくする、「強化」を増やす要因のこと
→つまり、子どもにとって「満足する」結果、楽しいこと、嬉しいこと‥などを指します。
その具体的な強化子の種類についてご紹介します。
- 一次性(生得性)強化子:人にとって生まれつき強化子となるもの
→食べ物・水分・空気・睡眠など、生命を維持する上で必要な物や活動が行動の結果にあるもの
- 二次性(習得性)強化子:経験によって強化子となるもの
→遊び(ハサミで工作、水遊びなど)、品物(テレビゲーム・レゴブロック・シール・カードなど)、関わり(スキンシップ・握手・抱っこ・ほめ言葉など)
また、「強化子」についてよくある質問をひとつご紹介しておきます。
- 食べ物を強化子として使うこと=エサで釣っているようで抵抗がある…。
- 強化子は「ほめ言葉」ではダメ?
- ほめるだけで子どもが充分満ち足りるならOK
- しかし、それ(ほめられる→満足)が分からないうちは、おやつ(食べ物)を与える
- だんだんと定着してきたら、徐々におやつ(食べ物)を減らしていく
つまり、
- ほめられることが習得性強化子だと分からない(認識できない)うちは強化力が低い
- 習得性強化子として効果が低いときは、生得性強化子と同時に与えると効果が高くなる
- 一次性強化子は、望ましい行動を増やすためのツールであり、できてきたら二次性強化子へ次第に移行する
最終的には何もなくても習慣として望ましい行動をとれるようになることが目標です。
「注目」という強化子
赤ちゃんはおっぱい/ミルク(=生得性強化子)をもらうとき、お母さんから「注目(=習得性強化)」をされながら、もらっています。「注目」は最大の強化子となるんですね。

子どもにとって最大の強化子は、親(お母さん)の笑顔です。
日常生活で、子どもの「うれしい」「たのしい」「満足」を増やすこと、それには日頃からその子をよく観察し、何がそれに当てはまるのか?知っておくことが大切です。
でもまぁ、お母さんたち親にも「余裕」がないと難しい場合もあると思います。一番大変なのはお母さんだと思うので、バランスを取りながら自分にもご褒美の「強化子」を与えながら(笑)やってみるのがいいのではないでしょうか。
強化子を効果的にもちいるには
強化子の効果を確認する(喜んでいるか?)
- 満腹時に食べ物(おやつ)の強化子をあげる
- 何度同じものが続いて飽きると満足度が低くなる
こうなると強化の効果が低下してしまいます。他のものに変えるなど、別の対策をとる必要があります。
何の行動を強化しているのか?はっきりさせる
- できるだけ具体的に伝えること
- やみくもにほめるのはNG
- 「〇をしたからご褒美がもらえたんだ」と実感してもらうこと
- 目標行動の直後に強化子を与える
- 「〇ができたから▽をあげるね」など強化子をあげる理由を説明する
- すぐさまほめる、具体的にほめる →すぐできないなら、他のモノ・コトで代用する(分かりやすくするため)
強化子をもらえる機会を増やす
できることから始めて、目標を少しずつ高くしていく「スモールステップの原理」という考え方があります。
小さな成功体験をいっぱい増やすこと、「できた」「できたね」を増やしてあげる(=強化子をたくさんもらう)と「満足」も増えていきます。
また、時にはハードルを下げることも大切です。
「ほめる」という体験を親にも増やし、「ほめられる」という体験を子どもにも増やすことでお互いの「うれしい」「楽しい」気持ちが増えていきます。
相手をその気にさせる・やる気にさせることで、お互いにハッピーになることを目指しましょう。
強化子の量は多すぎないように
強化子の量は多すぎも少なすぎも効果が低くなります。
一回に与える量は少なくしましょう。多すぎると強化子に飽きやすくなるためです。
おおよそ、子どもが喜ぶ量でOKです。(あめ玉1つ→OK、ポテチ大袋1つ→NG)
強化子は手の届きにくいところに保管する
いつでも手に入るものは強化子にはなりにくいです。
食べ物、遊び道具などを強化子にする場合は、隠すまたは鍵のかかる場所に保管するのがよいでしょう。
なぜなら、日頃手に入らない特別なご褒美は効果大です。また「○〇をやった時だけもらえる」という特別感が出るためです。
強化のスケジュール・進行度合い
ペアトレ期間中は集中的に、目標行動の直後に毎回強化を与えるようにします。
ひとつの目標行動を学習するには時間がかかるので、ペアトレ期間中は連続で強化するためです。
自動車教習所や、受験勉強の追い込みと同じくですが、集中的に行うことで馴染ませることが大切になります。
良くないのは、ペアトレ期間中に強化がなされ目標行動が「定着した」と勘違いしてしまうことです。
親が強化(ほめることなど)を忘れてしまうと、強化子がなくなって目標行動が減ってしまいます。
この「目標行動が減る」という現象が起きるならば、まだ強化を続ける必要があるというサインです。
次第に目標行動が安定してきたら、今度は間隔をあけて強化していきます(=間欠強化)
いつもの習慣になる、もしくは「あとで強化子がもらえる」というルールが定着することが最終目標です。
連続強化(集中的におこなう)して→目標行動が安定する→間欠強化(少しずつ強化のペースを落とす)する→目標行動が定着する→また間欠強化する→徐々に習慣化する、ルールになっていく→ゴール という流れで行っていきます。
- 基本慌てないこと(うまくいかなくても焦らない)
- 強化は「笑顔」と「ほめ言葉」のセットが大事 →強化子としてあげる「おやつ」などを減らす際に有効
効果的な強化をするための方法
プレマックの原理
プレマックの原理とは、『やりたい行動(自発的な行動)』を後回しにして『やりたくない行動(義務的な行動)』を先にさせることで、
『やりたくない行動』が終わった後の報酬として『やりたい行動』が機能し、
結果『やりたくない行動』の強化がなされるという理論です。
例:「スイーツを食べる(高頻度行動)」の前に「5キロランニング(低頻度行動)を持ってくる
→条件付け「5キロ走ればスイーツが食べられる」
→スイーツ(報酬)あるとき=ランニングする
→スイーツ(報酬)なし=ランニングしない
例:お手伝いしたら、公園で遊んでいいよ/宿題したら、テレビ見ていいよ‥など
その子にとって「好きなこと」が後に来るほうがいいでしょう。
これは私自身もよくやります。「洗濯物を干したら、お茶を飲もう。」「ランニングしたら、夕飯を少しだけ増やそう。」など(笑)
子どもたちにも「おもちゃを片付けたらおやつにしよう。」「寝る準備をしたら本を読もうね。」などよく利用しています。
こういった、ちょっとがんばったあとのご褒美はやる気にさせてくれますね。
トークン強化子
ペアトレ期間中、すぐさま「強化」を与えることが難しい状況になることがあります。
また、先に述べたように強化をあげすぎてしまったり飽きてしまうことも考えられます。
その場合に有効なのがトークン強化子です。トークンとは代用貨幣のことです。
他の強化子と交換できるため、強化子に代わる役割を果たしています。
この場合、こども本人にとって価値のある強化子と交換可能な代わりのモノを指します。
例:ポイントカード、スタンプカード‥など。
→ポイント/スタンプがたまると嬉しい・ほかの商品などと交換できる…など
トークン強化子のメリット
- 高価な強化子を準備するときによい
- 持ち運びが便利、いつでもどこでもその目標行動の直後に強化できる
- 飽きにくい
- 強化の間隔を自由に調節できる
いずれもその子にとって何に効果があるかは違ってきます。
まとめ
今回は強化と強化子についてご紹介しました。難しい専門用語はなかなか頭に入りませんね…💦
要するに(と無理やりまとめます)、すべての行動には何かしらの「きっかけ」がありますが、そこに「強化」や「強化子」を生かすことで、その「行動」をしたあとの「結果」が大きく変わってくるということです。
と子どもたちは自然に学習しています。
その「行動」を「してほしい行動」その子にとって「望ましい行動」に変えていくために、周りが出来ることはなんなのか?
それが、観察することだったり強化・強化子という考え方だったりするのです。
まずは相手をよく知ることから。
そしてその子にあったやり方で、よい方へ導いてあげること。
それを笑顔で、楽しく🍀彼らの満足や自信を満たしてあげられたら、親も子もハッピーになれるのではないでしょうか。
ぜひ日頃の生活に生かしてみてほしいです。
また書きます。
↑どちらもおすすめの本です。