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ブックレビュー

幡野広志著「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」ブックレビュー

この記事では、幡野広志さんの著作「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の内容&感想をご紹介します。

著者の幡野広志さんは、現在ガンを患い闘病中の写真家です。

ガンになる前から「写真家」として仕事・活動をされており、一方で「狩猟家」でもあるという異色の経歴を持っています。(※現在は狩猟のお仕事はされていません)

この本を書かれた時は、34歳でした。

幡野さんのガンは多発性骨髄腫というもので、現在も治療のために入退院しながら闘病を続けています。

ガンを患っているとわかった時、同時に「余命3年」という診断を受けました。

一時は病の進行と共に自殺を考えるほど精神的に追い込まれたこともあったそうです。

しかし、それでもなお今現在も精力的に活動していらっしゃいます。

 

この記事では、以下のことをご紹介しています。

この記事の主な内容
  • 「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の概要
  • 「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」は誰に向けて書かれたものなのか?
  • 「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の印象深い部分
  • 「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んで欲しいたった1つの理由 

また、この本「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」は以下のような悩みを持つ方におすすめです。

こんな悩みをもつ方におすすめ
  • 自身が「親」であり、今子育てについてなんらかの悩みを抱えている方
  • 親子の関係に傷ついたり不満を持っていたりなんらかのストレスを感じている方
  • 学校に馴染めず、居心地の悪さを感じている方 

こうした悩みを持つ方にとって、現在余命宣告をうけてなお精力的に活動されている幡野広志さんの言葉から得られる学びは大きいと思います。

きっとなんらかのヒントが得られるでしょう。

 

また、この本はとても分かりやすく、まだ文字の読めない小さなお子さんでも読み聞かせてあげればちゃんと伝わります。

なぜなら幡野さんがまだ小さなご自分のお子さんへ向けて書いたものだからです。

私も自分でこの本を読んだ後、子どもたちにも見せてどんな内容なのかを話しました。

わが子たちも「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」からなんらかの気づきと学びをもらったと思います。

読んでみようか迷っているあなたへ、この記事が「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読むきっかけになってくれたら幸いです。

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「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」に込められた幡野さんの思い

幡野広志さんの著書「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の内容はどんなものなのでしょうか?

まずタイトルに注目してみましょう。

パッとみて想像がつく方もいるかもしれませんが、ご自身のお子さん「優くん(このとき2歳)」へ向けて書かれた本なのです。

幡野さんは現在も闘病中で、治療のために入退院を繰り返しながらお仕事をして、家族と暮らしています。

幡野さんは余命宣告を受けて以降、息子の優くんが成長し大人になるまで果たして一緒に生きていけるだろうか?と考えたそうです。

おそらく、それはかなりの確率で難しい話だと思います。

自分の余命がいくばくもなく、優くんの成長をもしかしたらこの先見守ることができなくなるかもしれない。

現実を受け止めた幡野さんは、優くんへお金を残すよりも「言葉」を残そうと考えました。

タイトルからそんな著者の思いも感じとれます。

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の概要

次に幡野広志さん著作「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の概要をご紹介していきます。

この本は、以下4章に分けられています。

  1. 優しさについて、僕が息子に伝えたいこと
  2. 孤独と友だちについて、息子に学んでほしいこと
  3. 夢と仕事とお金について、息子に教えておきたいこと
  4. 生と死について、いつか息子と話したいこと

どれも幡野さんご自身の思いや考え方、物事のとらえ方がわかりやすく書かれています。

各章ごとに、

  • 「親」として
  • ひとりの「人間」として
  • 「自分が幡野さんの子どもだったなら」

…と想像しながら、じっくりと幡野さんの文章を味わって読むことができました。

個人的に気づきをもらった1章

ここでは、「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の中で個人的に気づきをもらった文章をご紹介します。

それは「1 優しさについて、僕が息子に伝えたいこと」のうち、「安心という優しさ」の項目の中に書かれていました。

以下に少し引用させていただきます。

子供という自分より圧倒的弱い存在にどう接するかで、僕や妻がどんな人なのかも決まる。

褒めること、叱ること両方が揃ってこそ、親の優しさと言えるのではないか。

妻と僕が決めているのは「2人で叱るのはやめようね」ということ。

片方が叱ったら片方は寄り添う。お父さんとお母さんから叱られたら子供の逃げ場がなくなってしまう。

これを読んで、私ははっとしました。

私たち夫婦も、以前「子どもを叱るときは…」と同じような約束をしていたからです。

でも私たちはそれをいつしか忘れ、特に長男を叱るときなどはふたりがかりで叱ることが多くなっていました。

「逃げ場がなくなる」のは、本当にその通りだと思います。

夫にもこの本を読んでもらい、今一度わが子を叱る際はどちらが叱ってどちらが逃げ道になるのか…を分けて考えようと思います。

子どもの心をしっかりと育てるためにも「叱る」という行為は慎重にならなければ…と反省しました。

「優しい虐待」の話

ここでは、「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んで特に印象深かった「優しい虐待」の話をご紹介します。

この本の中には「優しい虐待」という言葉が何度も出てきます。

その言葉ではなくても、同じことをさす内容が多い印象です。

「優しい虐待」とは何なのでしょう?

ガンになったことを公表した幡野さん。

幡野さんのもとには、ガン克服のためのありとあらゆるアドバイスがたくさん届いたといいます。

でもそれは、どれもこれも根拠のないものばかり。

でもガンを患い心がネガティヴな状態では、通常ならば気にもならない言葉にも過敏に反応してしまうひとも多いのではないでしょうか。

それで病気が治るなら·····と藁をも掴む思いでのめり込んでしまう方も多くいるでしょう。

でも、なんの根拠もなく、結局何も変わらず余計に失望を大きくしてしまうだけです。

そんな安易で危険で無責任なアドバイスを押し付けることを、幡野さんは「優しい虐待」と表現しています。

幡野さんご自身も余命を宣告された当初はきっと心身ともに動揺し、さぞ辛かっただろうと想像します。

それでもなお真摯に毎日を生きて、家族と幸せを感じながら暮らそうとしている幡野さんに、無責任で根拠もないアドバイスを押し付け陥れようとするひとがいるのです

「〇〇すればガンが治ります」

と嘘をつくのはいかがなものか?

と私自身読んでいて思いました。

しかし驚くことに、実際そういうアドバイスをされる方々は【それが本当に正しいと信じて疑わず】押し付けて近寄ってくるそうです。

良かれと思って…
悪気はないんだよ
自分はいいと思ったから
あなたのためを思って

と自分の都合を押し付けてくるのです。

こうした無責任な言動は、病に苦しむひとを虐待しているに等しい幡野さんはこの本で伝えています。

「優しい虐待」について「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の中で多く取りあげるのは、

いかにそうした行為や言動をしてくるひとが多いか…ということに繋がります。

「気づかぬうちに」「良かれと思って」誰かを傷つけてしまう。

された方はたまったもんじゃないですね。

私自身、「優しい虐待」を自分が誰かにしていないか?日頃気を付けているつもりです。

でも、慎重に見極めていかないと自分で気づかぬうちに誰かを傷つけてしまう可能性もあるのだと思います。

大切な誰かと接する時はもちろん、この文章を書いている今も、私の文章を読んで誰かが傷ついてしまわないかと繰り返し考えます

「優しい虐待」

特に子どもたちには、そうしない大人でありたいです。

自戒の意味も込めて、ご紹介させていただきました。

私が子どもなら教えてほしかったお金の話

幡野広志さん著作「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読み進めていくうちに、

「自分が幡野さんのこどもだったらこれを教えてほしい。」

と感じた内容がありました。

それは、「3 夢と仕事とお金について、息子に教えておきたいこと」に書いてあります。

「お金の教育」と題した文章の内容は、私自身が知っておきたいと思うものでした。

子どもにお金をのこすより、子ども自身がお金を生み出す方法を教えたほうがいい

お金と時間があれば、選択肢は広がる

お金にお金を稼いでもらったほうがいい

といった言葉は、なるほどと納得しました。

また、お子さんのおこづかいについても触れています。

幡野さんのお金の教育は、きっと将来役に立つ知識になると感じました。

また、この3章にはお金の話に加えて、夢を持つことや仕事について幡野さん独自の視点が語られています。

それがとてもポジティブで新鮮に感じました。

私がポジティブな印象を受けたのは、きっと幡野さんご自身が日々の経験を通じて得たものを、惜しむことなくお子さんへ伝えようとしているからです。

とても勉強になる内容です。

「生と死」についての思考

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の著者である幡野広志さんは、34歳で多発性骨髄腫というガンを患い、余命3年の診断を受けた写真家さんです。

また別の顔として、元猟師であったことも知られています。

猟師とは害獣を駆除する(=殺す)のが仕事ですよね。

幡野さんは狩猟を通じて「死」と対峙し「生と死」について思考する時間を多く持ちました。

また、狩猟で殺した動物やその様子を「写真」に残すことで「作品」を得ることができたといいます。

元々「知らないことを知る」「考える」ことが好きだという幡野さん。

幡野さんは猟師として他の人より数多く「死」を見る機会が多く、「死」について考える時間が多かったとご自分で分析されています。

ご自分でも「その経験があったからこそガンになり自分自身の「死」と直面したときに、受け入れることができたと語っています。

幡野さんの猟師としての文章はとても興味深いです。

これもきっと、息子さんが生きる上でのヒントになるのでしょう。

愛情と生きる上でのヒントが凝縮された4章

幡野広志さん著「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」の中で、

息子さんへの愛情が多分に伝わってくるのが「4 生と死について、いつか息子と話したいこと」です。

残していくことになるであろう息子さんへむけて、

  • 病気になったことでわかったこと
  • 生きることについて
  • 「生と死」について
  • 自分で考える力を養うことと答えを見つけること

など、たくさんの「生きていくためのヒント」を書いています。

先にご紹介した「両親そろって子どもを叱らない」というのもそうでしたが、

ご自身の子育てに対する考えにも触れていて、

「子育てとは、子どもを死なせないこと」

と、本の中で述べています。

私も幡野さんと同じく現在子育て中の母親ですが、この「子どもを死なせない」という部分に強く共感しました。

幡野さんご自身が健康で、息子さんと一緒にこれからも長く一緒に生きていられるのならば、

本来ここに書かれた文章は、ご自身の言葉で直接話すのが一番なのだろうと思います。

ですがそれがかなりの高確率で難しいと判断して、こうして文章を残しています。

できることならばこの先ご自身の著作を手に取って、成長した優くんと一緒に読んでほしいです。

でも仮にそれが叶わなかったとしても、きっと優くんにとって幡野さんは「自慢のお父さんに」なることでしょう。

幡野さんの親としての覚悟と深い深い愛情が伝わってくる4章のご紹介でした。

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んで欲しいただ1つの理由

幡野広志さん著作「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」のご紹介をここまでさせていただきました。

私自身幡野さんと歳も近く、ちかい年齢の子どもを持つ「親」として、とても考えることの多い一冊でした。

そのため、この本を「子育て」に関わるあなたにも読んで欲しいと考え、記事を書いています。

なぜなら、幡野さんの様な価値観を持ち、真っ直ぐにそれを伝えることができる人は最近では珍しいと思うからです。

子育てに関わる中で、こどもに対して知らず知らずのうちに「優しい虐待」をしてしまわぬよう、

また自分の「心」を健康に保つために、幡野さんの考え方を知ることは大事だと考えました。

私も含め、誰かの顔色をうかがったり、長いものに巻かれてみたり、自分の本心とは違う行動をとったり、嘘をついてしまったりするひとは多いです。

わが子に対しても、つい自分の都合を押し付けてしまったり、余裕がなく彼らのペースに合わせることができなかったりします。

それらは程度によっては「優しい虐待」になりかねません。

だからこそ、そうならないためにも、子育てに関わるあなたにもぜひ、読んで欲しいのです。

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んで感じる幡野さんと自分自身の心の状態

幡野さんの文章は、人に群れること無く、孤独を恐れず、ご自分の考えを真っ直ぐ発信している印象を受けます。

はたと

「この方は本当にガンを患っていらっしゃるのかな?」

と疑いたくなるほど清々しいです。

以前Twitterで「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」についての感想やレビューを検索して読んでいた時に、

どなたかが

「幡野さんはガンだけれど、心がすこぶる健康だ」

ということをつぶやいていました。

まさにその通りだと思います。

病に屈することなく前向きな発信をされている印象の幡野さんですが、本当にどん底だったときは自殺を考えたこともあるそうです。

それでも自殺を思いとどまり、前を向いて現在も精力的に活動していらっしゃいます。

そうできるのは何よりご自身の「心」がすこぶる健康であるからこそだと思うのです。

ガンという病気になってもブレることのない「強さ」。

その「強さ」に裏打ちされた「優しさ」を幡野さんは持っています。

 

·····余談ですが、私自身この本を読み始めた当初、自分のネガティヴな部分が気になって、幡野さんと自分を比べて「自分はダメだなぁ」と落ち込むことがありました。

幡野さんの「強さ」を目の当たりにして、自分の心の弱さを指摘されたような気持ちになってしまったんです

でも、私は幡野さんにはなれないし、幡野さんが私になることもありません。

当たり前ですが、この「自分」で生きていくほかないんですよね。

そう考えるに至ってからは、すんなりと幡野さんの文章が入ってくるようになりました。

そこからは「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読むことで、考えることの大切さや、物事を深く掘り下げることの大切さを教えてもらいました。

これも今後私自身が「親」として子どもたちと関わる際に生きてくると思っています。

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」には素敵なしかけがしてあります

最後になりましたが、ぜひこの本を読み終えた際には、カバーを外して見て下さい。

素敵な【しかけ】がしてあるんですよ🍀

電子書籍もいいですが、紙の本を手にしてじっくり読んでもらうのが個人的にはおすすめです。

読んでみる→「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」

この記事を読むあなたに考えてほしいこと

また、この記事を読むあなたに今一度考えて欲しいことがあります。

「あなたの大切なひと」は誰ですか?

あなたの「幸せ」ってなんですか?

わが子の「幸せ」ってなんだろう?

夫の「幸せ」ってなんだろう?

家族としての「幸せ」ってなんだろう?

ということを自分自身に問うてみて欲しいのです。

それぞれの「幸せ」は、みんな違うと思います。

人は必ず死にます。

幡野さんの様に病を患っていなくても、ある日突然命に終わりがくる可能性があるんです。

生と死は、常に隣り合わせです。

だからこそ、その限りある時間と命を使って、どう生きていくか

ぜひご自分で考えたり、家族やご夫婦で一緒に話す機会を設けてほしいのです。

幡野広志さんをもっと知りたい方はこちらも読んでみてほしい

幡野さんは、この本を出される前からご自身でブログを書かれていました。

お子さんが生まれる前のことや、病気になって猟師をやめる前のことも書いてあります。

写真もたくさん掲載されています。

幡野広志さんがどういうひとなのか?を知るにはこちらもとてもおすすめですので、こちらも著作と一緒に読んでみてください。

また、Twitterもしていらっしゃいます。

こちらでは質問箱に投稿された質問に答えることも時々してくれます。

幡野さんへ 感謝のメッセージ

ガンを患ってなお、ご自身の考えをアップデートさせるべく精力的に活動し続ける幡野さん。

幡野さんご自身の「幸せ」をこれからもずっと維持していけることを

また幡野さんが一日でも多く、愛するご家族と幸せな生活を送ることができますよう

陰ながら応援させていただきます。

幡野さん、大切な一冊の作品を届けてくださりありがとうございました。

 

それでは今回はこの辺で失礼します。

この記事の中に掲載している写真は一部幡野さんのnoteよりお借りしました。

ABOUT ME
すなお たまき
すなお たまき
お母さんです。東京→広島県江田島市移住。 毎日爆音でなくウグイスが癒し。子育て、移住、江田島ネタ、夫婦家族のこと、その他日常についてぼちぼち書いています。 江田島に家族で移住しておいで!いいことも悪いこともリアルな移住後の生活について包み隠さずお話させて頂きます。